国産軍用真空管Hシリーズコンプリート等

前ブログの記事(2018/3/2) お引越ししたので再掲

 

なんやかんやあって二、三年ほど集めていた国産軍用管Hシリーズの収集がひとまず完了しました。(下写真)

左上段から順に
周波数変換用七極管 CH-1(遮蔽管の形状より初期型と推定、後述)
検波用双二極管   DH-2
検波増幅用五極管  RH-2GT
同         RH-2(初期型と推定、後述)
電力増幅用ビーム管 PH-1
全波整流用双二極管 KH-2
万能五極管     ソラ
          RH-2(後期と推定)
高周波増幅用五極管 RH-4
gm五極管     RH-8    です。
このうちCH-1、RH-2(GT含む)、ソラ、PH-1、一部RH-4は前回に引き続きYR氏よりお借りしているCT160を用いて試験を行い、規格表と照合して問題なく使える球が手元に各一本以上存在することを確認しました。

次に、CH-1及びRH-2の初期型推定についてです。
まず、下の写真をご覧ください。


どちらも同じRH-2ですが、遮蔽金属筒の爪部形状及び管の全長が異なります。
次の写真にいきましょう。

先程と左右逆にして写真を撮ってしまいましたが、右が先程の写真で左側にあった球(S18製造)です。左側の球は別の球ですが、先程の写真で右側にあったものと変わりません。比較すると右は管頭になにもありませんが、左は管頭に管名がプレスされて印字してあります。
また、CH-1にも同様の変更がみられると推測されます。

上の画像は金属筒が錆びてしまっていますが、管頭下部に1と書いてあるのが確認できます。
Hシリーズで1が付きかつ遮蔽筒が存在しているのはCH-1のみなのでCH-1と予想し、金属筒をニッパで開きました。

グリッドの本数と他のHシリーズにみられない構造からCH-1であると断定しました。
さらに、遮蔽筒を見るとRH-2の後期型と同様の爪形状であることも確認できます。

これらの事実と推測から想像するに、以下のような経緯で形状が変化したと思われます。
まず、Hシリーズ量産にあたり、同一の金属筒を用いてCH-1、RH-2が生産開始。遮蔽筒側面の印字で区別。
次に、遮蔽筒側面のみではCH-1とRHタイプの区別がつけづらい(管頭からみたらわからない、印字消え等?)ことから管頭にプレス印字する方式に変化。RH-4、RH-8の生産開始とどちらが先かわかりませんが、そのことも影響していると考えていますがあくまで推測の域を出ません。ついでに金属物資の不足から遮蔽筒の全長も減らしたのではないかという予想です。

以上、現在私が考えている事を軽くまとめてみました。しかしながら、サンプル数の不足と私の不勉強により現状では仮説止まりです。どなたかこれらの真空管をお持ちの方、また文献や製作話等ご存知の方がいらっしゃいましたらコメント等いただけると幸いです。勿論それ以外の方からのコメントもお待ちしております。

あと、ビーム管PH-1を測定する際、規格表に記載されている動作例の陽極電流値が4.5もしくは5mA程度となっているものは信用しないほうがいいです。元気に生きている球であれば軽く4,50mAは流れます。私が所持している本だと受信用真空管一覧(市岡太郎編、一正堂書店、S22発行)、最新内外真空管マニアル1948年版(日本ラジオ技術協会編、新興出版社刊、S22発行)は規格表の値が間違っていることを確認しました。電波日本vol40,No.6(日本電波協会発行)の該当記事やラジオ技術教科書下巻、ラジオ技術者必携最新真空管便覧 送信管・受信管・特殊管(守田栄編、オーム社、S22発行)を参考にするといいと思います。特に前者はEp-Ipグラフも記載されているのでおすすめします。

以上、長々と失礼しました。
D球アンプ?まだです・・・